第6回 エリ松居 ドレスショップ紹介

第6回 エリ松居 ドレスショップ紹介
会場の扉が開け放たれた途端、ゲストから感嘆の声が上がる――。1988年の設立以来、誰もが目をみはる美しいウエディングドレスを作り続けてきた「エリ松居Japan」。花嫁の乙女心をくすぐる薔薇やリボン、フリル使いなど複雑な装飾が施されながら、一様に"シンプル"と表現されるのも、このブランドの魅力のひとつ。すべては造形学に基づいたパーフェクトな計算から生み出されています。そんな"美の形"を追求する松居エリさんが「装いの頂点にある」と断言するウエディングドレスの魅力とは――。![]() |
松居エリさん プロフィール 愛知県生まれ、武蔵野美術短期大学工業デザイン科染織コース卒業。1983年から1985年まで、ウィリアム・レイニー・ハーパー・カレッジのファッションデザイン科にて 学ぶ。1988年、「エリ松居Japan」を設立。1999年には物理学者、数学者、工学士、芸術家とともに「ISACの会」結成。美術と科学の創造的出会いを目指し、武蔵野美術大学で 研究を始める。現在は、東京およびスイスに在住し、制作活動を続ける。東京ファッションデザイナー協会[C・F・D]会員。日本テキスタイル協会会員。スペース・クチュール コンテスト実行委員会委員長。宇宙ウェア開発ユニット(JAXAオープンラボ宇宙ビジネス提案 選定ユニット)ユニットリーダー。2008年から東京造形大学特任教授。 |
着る人自身が心から美しいと思えるウェディングドレスを作る
松居さんには、"探求者"という言葉がよく似合う。ウエディングドレスに限らず、東京コレクションで最先端の科学やテクノロジーを取り入れたファッションを発表し続けたり、近年ではJAXA宇宙航空研究開発機構の支援のもと、スペースクチュールの研究開発に携わったり......。着る人自身が心から美しいと思えるデザインを完成させるため、松居さんが時間を惜しむことはありません。インタビュー中も、そのエネルギッシュな情熱に圧倒されっぱなし。しかし、意外なことにファッションデザイナーを志したのは20代も終わりの頃だったそう。

「エリ松居 Japan」代表でありデザイナーの松居エリさん。この日は新作の素敵なスカートで、可愛らしい雰囲気に。
「ファッションデザイナーってちょっと俗っぽいくらいに思っていて(笑)。個性的な芸術家たちを輩出している高校の美術科で、ファインアート(純粋芸術)の勉強をしていた影響もあり、ずっと絵描きか彫刻家になりたかったんです」。 そんな松居さんがデザイナーに転向するきっかけとなったのは、シカゴのカレッジで夏期講習を履修していたとき、友達になった女性たちにファッションデザインの専攻を受けようと強く誘われたことでした。
美術科仕込みのデッサン力とフォルムの美しさにこだわったアイデアが高く評価され、コンテストで次々と上位入賞。以来、周囲のサポートを受け、カレッジ在学中からデザイナーとしての道を歩み始めます。 当時から松居さんが一貫してデザインしていたのが、ウエディングドレス。 「そのときは布で美しい立体を作り出すこと自体が、とにかく楽しかったんです。形を追求する人間なので、"白"が好きなんですよ。黒だと光を吸収してしまうので、形が見えにくいんです」

松居さん独自の手法「クールカッティング」で作られた一着。女性のラインを美しく演出します。

光の差し込む店内は、ゆったりとした雰囲気。
帰国後すぐに「エリ松居Japan」を設立。科学や数学という一見、ファッションの世界とは無縁のような学問との融合により、"その人にぴったりの究極のドレス"を生み出していきます。 それは東京コレクションで発表してきたモードとの相乗効果も大いにあるのだそう。
「東京コレクションでは、テーマを決めて発表しています。テーマに基づいて、あらゆる角度から掘り下げていくことで、見たことのない形や技法が生まれるんです。そこで生まれた新しい発想や技法は、ウエディングドレスにも生かされていると思いますよ」。
そして、試行錯誤を繰り返した結果、身体を最大限に美しく魅せる"クールカッティング"など、多くの花嫁の心をつかんできました。
次のページ:複雑な曲面を持つ身体に合わせて生地の厚みや重さもすべて計算>>
(2008.07.24)
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